小さな恋のメロディ
それでも私はバイトに行く。


「おはよ」

「おはよ。ねぇ、昨日大丈夫だった?」


今では、お店で一番仲良しのマリナが心配そうに聞いて来た。


「ん…」


私は昨日牧野さんとのやり取りを、マリナに話した。


「全然普通のいいお客さんだと思ってたけど、危ないね…。今日来たら、ヘルプで私も一緒につけてもらう様にボーイに言っとくよ」

「本当?ありがとう」



でも、牧野さんは来なかった。

お店が閉店を迎えても、来なかった…。

私もマリナも、すっかり安心して、送迎の車に乗ろうとした瞬間、ミュウのお店のビルの5階の階段の踊り場から、叫び声が聞こえた。



「アヤ―!聞こえる?」

「牧野さん?!」

「アヤが僕を好きじゃないなら、アヤが僕を二度と忘れられない事を僕は選ぶよ!」


それは一瞬の出来事で


牧野さんは


空を飛んだ……


-ドスンッ


血を流して



痙攣をおこしながら




「これで…アヤは…僕のも…」



ニヤリと笑って言ったんだ……


「キャーッ」



辺りは騒然として、私はマリナに手を引っ張られ、タクシーに乗って帰った。

どの道を通ったなんて分からない


ただ



「早く忘れなっ」


マリナがそう言ったのは、覚えてる……。

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