小さな恋のメロディ
目が覚めえると哲平は隣に居なくて、静かにテレビを見ていた。


「哲平?テレビ…消して」


私は、昨日の牧野さんの事件をニュースで見るのが怖かった。


繁華街での飛び降り…。

もし亡くなっていたら、ニュースになるかもしれないから…。


哲平は私を無視して、テレビを見ていた。


「…哲平?」

「……」

私はやっと気付いた。

押し入れの中に隠してあった、牧野さんから貰ったブランド品が、いくつも転がっていて…。


ミュウで貰った、困った時の為にと取ってあった、手をつけてないお金も、給料袋の中に入ったまま転がっていた…。


沈黙を破るように、私の方を見ないで哲平は言った。


「お前…何やってんの?」


力強く、少し震えた哲平の声…。


「ごめん…」

「そんなにブランド物が欲しかったのかよ?!」

「?!」


違うよ!
私はただ、哲平の力になりたかっただけだよ?
ブランド物なんて、欲しかった訳じゃない…。


「お前、高校の時からブランド好きだったもんな?…悪かったな、稼ぎが悪くて」

「……」


違うのに…声にならない…。

哲平の怒りが、怖いくらい私を突き刺す…。




哲平と私は、もうダメなの?

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