小さな恋のメロディ
一週間振りに戻った、哲平と私の小さなアパートは…。

奇麗に片付いていて、あの洗濯物の見覚えのある畳み方…。


「…里沙、来てたの?」

「ん?あぁ、一人じゃ大変だろって、掃除とか色々やって貰ったよ」

「ふ~ん…」


入院中、一度も顔を見せなかった里沙…。

嫌な予感がした。


「何?焼きもち?」

「バカ」

「アイツは俺達の友達じゃん」


呑気そうに哲平は言う。


「お前の退院、おめでたパーティーしようと思ったんだけど、里沙、今日来れないみたいだから、二人でやろうぜ?」

「…うん」


哲平と買い出しに行き、ささやかなパーティーをしながら、これから先の事を二人で話した。


子供の名前、マイホームを買う話、明るい未来の話に、私達は盛り上がる。


「結婚…どうする…?」


目を閉じて、見ないようにしていた現実えお、哲平が切り出した。


「…うん」


未成年のちっぽけな私達…。


「俺は、ちゃんとお前の親に認められてから結婚したいんだ…」


鳴海を拒否して、駆け落ちまでした私達を、パパが許してくれるはずがない…。


「少しずつでいいんだ。認めて貰えるよう、頑張ろ?」


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