小さな恋のメロディ
ー翌日


「じゃあ、行って来るね」

「気を付けてな」


今日も仕事がある哲平は、そのまま眠って、私は田中さんとの待ち合わせ場所に向かった。

喫茶店に入ると給料袋を渡される。


「ありがとうございます」

「一応、中を確認して」

「はい。……？多くないですか？」


明細書を見ると、時給4000円が4500円で計算されていた。


「よく頑張ってくれたからね」


そう言って田中さんは微笑む。


「夜働く子は入れ替わりが激しい。その分、僕は色んな子を見て来たよ…。自分を大切にしなさい」


田中さんが見て来た世界を私は知らない。

でも、田中さんが一人一人の女の子に親身になって接していたのは、私も知ってる…。


「じゃあ、僕は仕事があるから戻るよ。ナンバー3の代わりになる子を探さないといけないからね。何かあったら、いつでも相談しておいで」

「ありがとうございました」


田中さんは飲み物代をテーブルに置くと、喫茶店を後にした。

そんな田中さんの後姿を見て、もう二度と会うことはないだろうと、感じていた。


「帰らなきゃ…」

そして、私は私の生活に戻る…。


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