小さな恋のメロディ
慌てて階段から降りて来た里沙は、私に言った。


「アンタなんか居なくなればいいのよ!」


そのまま走り去っていく里沙を見て、気付くと血が流れてた…。


「アヤさん?!」


マリナが来て、救急車を呼んだ。

薄れていく意識の中で、色んな事が頭の中を駆け巡る。



哲平や哲平の家族が、辛い思いをしたのは私のせい…


牧野さんが死んだのも私のせい…


赤ちゃんを守れなかったのも私のせい…


私なんか居なくなればいいんだ…


もう疲れた


もう、何も考えたくない……


目を覚ますと、私は病院のベッドの上に居た。


「綾香?!」

「…ママ?」

「僕、先生を呼んで来ます」


そう言って、男は急いで何処かに行った。


「貴女、一週間も寝ていたのよ。それから…落ち着いて聞いてね。…赤ちゃん、ダメになったの…」

「…赤ちゃん?誰の?」

「貴女と哲平くんのでしょ…?」

「…てっぺい君?」


ママが言っている事の意味が解らなかった。

私、妊娠してたの?


てっぺい君って誰?


さっき出て行った男が、医者を連れて戻って来て、医者は私を診察する。


「もう大丈夫でしょう」


そう言って、医者は笑顔で戻って行った。

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