小さな恋のメロディ
「では、次回の打ち合わせは来月になりますので」

「宜しくお願いします」


式の打ち合わせが終わると、私と鳴海さんはCDショップに向かった。


「ここでいい?」

「うん」


鳴海さんに連れて来られたこのCDショップは、何故か夏かしく感じた。


「来た事あるの?」

「…無いと思う。CDはいつもパパやママが買って来るから」


店内に入ると、私は何故かあるコーナーの前で立ち止り、一枚のCDを手に取った。


「大塚愛が好きなの?買ってあげるよ」


鳴海さんは私が持っていたCDを取り、披露宴で使う曲を選ぶ。


「じゃあ、これにしようか?」

「うん…」

「…どうした?他に好きな曲があったら教えて?」

「ううん!大丈夫」


鳴海さんはレジに行きCDを買うと、私にあのCDを渡した。


「ありがとう…」

「あっ、俺の車で聞く?」

「ううん、いいの」

「そう?」


何となく、まだ聴いてはいけない気がした。

私は家に帰ると、CDを机の中にしまう。

今はまだ聴く時じゃない。
何の根拠も理由もない。
ただ、怖かったのかもしれない。


CDを聴くと…
私の中で何かが変わる気がした。

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