小さな恋のメロディ
私と哲平は歩いて学校に戻る。
教室に入ると、又クラスの女たちが騒いでいた。
気の強そうな女が私に言う。
「今度は哲平なの?」
「別に……。そんなんじゃないけど」
「じゃあ、なんで一緒なのよ?」
私とクラスの女の間に入って、哲平が言った。
「俺が勝手に連れだしただけだよ」
「本当?」
「あぁ」
クラスの女はキツい口調で私に言った。
「私と哲平、付き合ってんだから!」
「だから、束縛はしないルールだろ?」
なんかふたりは揉めてたけど、そのあとの会話は私の耳には入らなかった。
『私と哲平、付き合ってんだから!』
その言葉で頭がいっぱいだったから……。
そんなことがあったあとも、私は毎日猫に餌をあげに行った。
たまに哲平に会ったりもする……。
「みぃちゃん、少し大きくなったかな?」
「みぃちゃん?」
笑いながら哲平が言った。
「来てたんだ?」
「今日はバイトが休みだからな」
「ふ~ん……」
「俺もコイツに名前付けたんだよな。でも全然覚えないから、なんでかと思ったら、コイツみぃちゃんなのか」
「……なんて名前付けたの?」
「花子」
花子……。
「……」
「なんか言えよ……。あっ、夏休み、俺バイトだから飼い主見付からなかったら餌やり頼むわ」