小さな恋のメロディ
「飼い主……?」
「コイツもずっとここじゃ、可哀想だろ?」
「そう……だね」
飼い主、見付からなきゃいいのに……。
「じゃ、そろそろ行くね」
「もう行くの?」
「家庭教師が来るから」
「そっか、又な!」
「又ね」
哲平とは学校では話さないから、この空地がふたりだけの秘密の場所みたいになっていた。
でも、みぃちゃんの飼い主が見付かったら、この秘密の場所も、ただの空地になってしまう……。
私がみぃちゃんを飼ったら、哲平はうちに来てくれる?
でも、うちでは飼えない……。
「ただいま」
「お帰り。お勉強終わったら、お父さんから話しがあるそうよ」
「分かった」
部屋に入り着替えると、家庭教師が来る。
家庭教師が帰ると、私はパパがいる居間に行った。
「座りなさい」
今日もパパは機嫌がいい。
「東城さんから連絡があってな。息子さんの鳴海君が、お前に一度会ってみたいそうだ」
「……うん」
「年内にでもどうかと言われたから、お前もそのつもりでいなさい」
「分かった……」
東城のことなんて、すっかり忘れてた。
結婚が決まっている私が恋愛をしていい訳がない。
哲平に彼女がいてよかった……。