小さな恋のメロディ
次の日、学校は終業式で、何故か哲平の彼女は来ていなかった。
哲平が何度か話しかけてきそうだったけど、私は気付かない振りをして、哲平を避けた。
そして帰り道、空地に行くと、そこにはみぃちゃんの姿はなくて、哲平と秘密の場所だった空地は、ただの空地になっていた……。
ここには、哲平との思い出がいっぱい詰まっている……。
哲平はきっともうここには来ない。
空地を出ようとした、そのときだった。
「綾香!」
「……哲平?」
哲平が走って私の元へと来る。
『もう来ないから』きっとそう言われる。
逃げようとした私の手を、哲平は掴んで言った。
「俺、別れたんだ」
息を切らせながら哲平は続けた。
「付き合わない?」
「……」
私はうなずいた。
哲平の携帯番号が、
登録No.二十九
に登録された。
私は家に帰ると、部屋にある東城の写真を見て呟く。
「今は……まだ……いいよね…?」
哲平には東城の話しは、していない。
東城との結婚までに残された時間が、後どれくらいあるのか分からない。
でも今は、
哲平と一緒にいたいんだ……。