小さな恋のメロディ
花火
夏休みは、毎日のように家庭教師の小野田が来る。
午前中に勉強。
午後からはなにもすることがない。
哲平はバイトが忙しいみたいで、夜に電話がある程度だった。
私から電話はしない。
「毎年夏休みはほとんど家にいなかったのに、今年は出掛けないのね?」
ダルそうな顔をしてママが私に言う。
「出掛けた方が都合良かった?」
少し笑って言ってみた。
「別に……そんなことないわよ。スイカ食べる?」
「うん」
ママは私が家にいるせいで、あの電話の人に会えないみたいで、イライラしているっぽかった。
ママと私は女ふたりでスイカを食べる。
「……なんでパパと結婚したの?」
「なに?!急に」
ママはビックリしたみたいで、スイカを吹き出しそうになっていた。
「なんとなく……」
「……貴女と一緒よ」
「政略結婚?」
「……みたいなものね」
「ふ~ん……。じゃ、部屋に戻るから」
「変な子……」
ママが私と同じ道を歩いてたなんて、知らなかった。
私と同じ道を先に歩いているママは、どんな気持ちでいたんだろ?
今、幸せなのかな?
今まで家のことには興味がなかったけど、ママの話しを聞くと、変な気持ちになった。