小さな恋のメロディ
すると哲平は立ち止まり、私の傘と哲平の傘を交換して私の傘を閉じると、私が持っていた哲平の傘を取って、一本の傘の中にふたりが入った。
「こっちの方が歩きやすいだろ?」
「……うん」
ゲーセンに着くと、哲平は子供みたいにはしゃいでいた。
私はそれを見てるだけで楽しい。
「プリクラ取ろうぜ!」
プリクラは聞いたことがある。
「うん」
「お前さぁ、せっかくなんだからもっと笑えよ!」
「えっ、無理」
「ったく。次撮るときまでに練習しとけよ?」
「うん」
私が生まれて初めて撮ったプリクラは、ドキドキでいっぱいだ。
めちゃくちゃ笑顔の哲平と、ひきつり顔の私のプリクラを、ふたりで半分にした。
「あっ、お金」
「いらねぇよ」
「でも……」
「い~から。男に恥かかせるなよな!」
哲平はなんだか得意気に言った。
「カラオケで飯でも食う?」
「うん」
そう言って、カラオケに行ったものの……。
「なに?お前、歌知らないの?」
「クラシックしか聴かないから」
「俺ひとり歌っても……。よし分かった。出よう!」
哲平はそう言って、頼んでたご飯を急いで食べると、カラオケ店を出て、CDショップに向かった。