小さな恋のメロディ
CDショップに入ると、哲平はなにかのCDを必死に探していた。
「あった!」
「なに?」
哲平はなにも言わないでレジに向かうと、一枚のCDを買って私に渡した。
「これ、今日帰ったら聴いて。今度カラオケで歌えるように、しっかり練習しとけよ」
「うん。いくらだった?」
「だから、いいって!初デート記念のプレゼントだよ」
そう言って哲平は笑った。
「ありがとう。練習するね!」
私は初めて哲平からもらったプレゼントを、大事に鞄の中にしまった。
「じゃあ、そろそろ帰るか?」
「うん」
一本の傘の中を、ふたりで並んで歩く。
気付くと哲平の肩が濡れていた。
「哲平、肩濡れてる……」
「いいんだよ」
電車に乗って、ふたりの別れの時間が近付くと、哲平も私も無口になっていた。
「今度の日曜も空いてる?」
「空いてるよ」
「花火、見に行かね?」
「うん!」
私の嬉しそうな顔を見て、哲平は少し照れた顔をした。
家の前まで送ってもらって、哲平と別れたあと、私は急いで部屋に戻ると、哲平からもらったCDを聴いた。
CDは大塚愛のアルバムで、ひとつ胸に突き刺さる曲が……あった……。
『プラネタリウム』
ふたりの未来はきっと……。