小さな恋のメロディ
すれ違い
夏休み中、日曜日だけは哲平と過ごし、長い長い夏休みはやっと終わった。
「おはよ」
「おはよ」
学校に着くと、哲平と少し照れた感じで挨拶をする。
そのとき、陽子がすごい剣幕でこっちに来た。
「やっぱり付き合ってんだ?泥棒ネコ!!」
「やめろよ!」
私は陽子の罵声を止めに入る哲平の腕をつかみ、哲平の目を見て首を横に振り、陽子に言った。
「ごめん……」
陽子は一瞬、ビックリした顔をし、強い目で私に言う。
「……そんな男、あんたにあげるわっ!」
陽子はそう言って、席に戻った。
そんな三人のやり取りに、教室は静まりかえる。
そして少しすると、教室は少しずつざわつき始めた。
「ごめんな」
哲平はそう一言私に謝ると、私の隣の席の人に頼んで、私の隣の席に引っ越して来た。
「俺が守るから……」
そっと耳元で言ってくれた。
そんな私と哲平を見る、クラスの子たちの目は冷たい。
そして始業式を終えても、哲平はずっと傍にいてくれる。
「又、男変えたんだ?」
噂する周りの子たちの声も、哲平の睨みでかき消してくれた。
こんな私で哲平はいいの?
ひとりだったから気にしなかったことも、ふたりになると不安になる。
嫌われてる私を見て、哲平は私を嫌いになるんじゃないかって……。