小さな恋のメロディ
「おわっ!お前、なにやるか分かんねぇ―な」
「だって、やり方分かんないもん」
ギャーギャー言いながら、時間が経つのも忘れて、気が付くと暗くなりかけていた。
そして部屋をノックする音が聞こえる。
「哲平、ご飯できたわよ。よかったら綾香さんも一緒に食べていったら?」
「どうする?」
「食べる!ちょっと家に電話するね」
そう言って家に電話すると、哲平と食卓に向かう。
食卓には哲平のお父さんとお母さん、弟の耕平くんがいて、テーブルの上には、哲平のお母さんの手作りコロッケと、ご飯と味噌汁が置いてあった。
「なにもなくてごめんなさいね」
「いえ、遅くまですみません」
そう言って食べたコロッケは、すごく美味しかった。
哲平の家の食事は楽しい。
哲平の優しいお母さん。
逞しくて力強いお父さん。
可愛い弟。
こんな家族に囲まれて、毎日を過ごしてる哲平がうらやましかった。
「じゃあ、俺、送ってくるわ」
「気を付けるんだぞ」
「お邪魔しました」
「お姉ちゃん又来てね。今度は僕とゲームしよっ」
「うん、又ね!」
少し名残惜しみながら、哲平の家を出る。
「ごめんな、騒がしい家族だろ?」