小さな恋のメロディ
強さ
昼休憩が終わり、教室に戻ると、久しぶりにクラスがざわついていた。
そう。
哲平が私の席の隣から、元の席に戻っていたから……。
私は平気な振りをして、席に着く。
哲平も私を見ない。
本当は授業なんてまるで頭に入らなかった……。
「どしたの?喧嘩?」
授業が終わると、哲平と付き合ってから仲良くなった、里沙が聞いてきた。
「……そんなんじゃないよ」
私は無理して笑って続けた。
「別れたの」
「それでいいの?」
「私が悪いから」
「ふ~ん……」
里沙は理由を聞かなかった。
ただ、ひとりになった私の傍にいてくれる。
私がバカにしていた、
“友達”
が、すごく暖かく感じた……。
「でも、私としては寂しいかな……」
ポツリと里沙が言う。
「えっ?」
「哲平と付き合って、綾香変わったじゃん?よく笑うようになったし……。顔が優しくなったって言うか。なんか残念……」
私はただ笑うしかなかった。
哲平に本当のことを話すより、哲平に嫌われることを選んだのは、誰でもない私なんだから……。
「もうその話は終了~!」
私は必死に笑顔を作って言った。