小さな恋のメロディ
「そうですね」


鳴海は余裕な顔をして、笑って言った。


「じゃあ、又出直します。突然すみませんでした。お邪魔しました」


そう言って哲平は部屋を出て行く。


「私…そこまで送って来る」

「直ぐ帰るのよ!?」

「分かってる」


私は哲平を追いかけた。


「哲平っ!」

「…?」

「ごめんね。嫌な思いをさせて…」

「俺は大丈夫だよ」

「でも…」

「俺さ、お前と話すようになるまで、お前の事すげぇ嫌いだった。けど、お前はお前で大変だったんだなって思った…。俺、絶対お前の事を幸せにするから」


哲平はそう言って笑った。

家に戻ると、鳴海とママはまだ話していた。
私は鳴海とママに向かって言う。


「私と哲平を認めてくれないなら、私、この家を捨てるから!」


卑怯なのは…分かってる。
哲平が望んでいる

”認めて貰う”

ってことは、きっとこんな事じゃない。

でも私がこう言ったのは、分かってたから。

まともに頼んで、認めてくれる相手じゃないって事を……。

”俺、絶対お前の事幸せにするから”

哲平のこの言葉で、強くなれる気がした。

例え世界中を敵に回しても、二人でいれば幸せになれる気がした…。

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