小さな恋のメロディ

冬休みを終え、学校が始まる。

哲平は残り少ない高校生活を又、隣の席で過ごそうと移動しようとしたけど、私が反対してやめた。

陽子の気持ちを考えると、胸が痛んだから……。


「久し振り!」


里沙は相変わらず元気で、紺野くんからは里沙がクリスマスにあげた、香水の匂いがした。


「何?二人戻ったんだって?」

「うん。里沙のお陰で」

「本当に良かった。四人でも遊ぼうね!」

「うん」


里沙が居なかったら、私と哲平はあのまま卒業していたと思う。

友達の存在って大きい。


私はパパとの約束を守るため、猛勉強をした。
家では家庭教師が帰った後から寝るまで、学校では休憩時間も…。


「おっ、頑張ってるな」

「うん」

「ちょ、ここ教えてくんね?」


受験とは関係ない、哲平が聞いて来た。


「?」

「俺、今回赤点取ったら留年…」

「哲平、マジかよ?」


笑いながら紺野くんが聞いた。


「はい…」

「じゃあ、こっち来いよ。進藤はT大受験だろ?俺はもう決まったようなもんだから、俺が教えてやるよ」

「お願いしま~す」


里沙と紺野くんは、同じ大学を受験するらしい。
成績がギリギリの里沙も一人で猛勉強をしている。

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