小さな恋のメロディ
部屋に入ると泣いている里沙と、珍しくムスッとした紺野くんがいた。

話が見えない…。


「ちょっと俺、紺野と話があるから、里沙の話はお前が聞いてやって?」


哲平はそう言うと、紺野君を連れて出て行く。


「どうしたの?」

「試験発表はまだでしょ?」

「ううん、来なかったの。紺野くん、試験受けなかった…」


里沙はそう言うと、又泣き出した。

こんな時に私は、何て言ったら良いのか分からない。
言葉が見付からなかった……。

こんな時、友達なら何て言う?

答えが…
見付からない……。

私は何も出来なくて、ただ里沙の傍に居ることしか出来なかった。

どれくらいの時間が経ったのか、哲平と紺野くんが戻って来た。


「里沙、ごめんな」


里沙は相変わらず黙ったままで、紺野くんが続ける。


「俺さ、大学に行く意味が分からなくなったんだ…」

「…意味?」

「最近、大学に行って何の意味があるのか俺なりに考えて…。色んな仕事をして、本当にやりたい事を見付けたいって思ったんだ」

「だって、離れちゃうよ?」

「里沙…。とりあえず、二人でちゃんと話そ?」

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