小さな恋のメロディ
そう言って二人は帰って行った。


「紺野の奴、ちゃんと話さねぇから…」


紺野くんは、同じ大学に行くのを楽しみにしていた里沙に、話せなかったらしい。

里沙に貰った香水を、今日も付けていた紺野くん…。

二人はきっと大丈夫…。


「てか、久し振りだな」


哲平は嬉しそうな顔で言う。


「試験は?」

「大丈夫!だと思う…」

「ちゃんと合格して卒業したら、又お前んちに行かなきゃな」

「……?」

「お前のお父さんにちゃんと挨拶しとかなきゃな」

「うん!」


哲平は優しくキスをした。



合格発表を終え、四人の進路は決まった。

紺野くんはここに残ってフリーター。
里沙は兵庫の大学に進学。
哲平は家の仕事をする。

私はT大に進学。

三年間、同じ高校に通った私達はみんなバラバラの道を歩む事になった。

里沙と紺野くんは、あの後ちゃんと仲直りしたみたいで、


「卒業式が終わったら、カラオケにでも行こうぜ!」


哲平の提案?で、明日の卒業式が終わったら、四人でカラオケに行く。

そしてその後、哲平がうちに来て、パパに挨拶をする。





私は怖いくらい幸せだった。

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