小さな恋のメロディ
「今日は俺が作るよ」

「ごめんね」

「少しずつ覚えていけばいいよ。家事なんて、初めから出来る奴なんていないんだから」

「うん…」


哲平がご飯を作っているのを隣で見たり、少し手伝ったりした。

二人で作ったチャーハンは、凄く美味しかった。

夜になると、哲平は仕事の案内本を見る。


「私も見たい」


哲平が見ていない本を見ると、私はビックリした。


時給900円?


一時間働いて、それだけにしかならないの?


家賃だけでも5万円なのに…。
5万円を稼ぐ事が大変な事に、私は初めて気付いた……。


「面接に行ってくるな」

哲平は昼過ぎに出掛け、私は何をしていいのか分からずに、ただボーっとしていた。

その時、里沙からの着信で携帯が鳴る。


「はい」

「綾香?携帯、持ってたんだ?」

「うん」

「もう兵庫に居るんでしょ?私今日の朝着いたんだけど、何か寂しくて…。どの辺に住んでるの?」

「んと…。ちょっと待って」


私はアパートの契約書を見て、住所とアパート名を言った。


「嘘?すぐ近くみたいじゃん。探しに行ってもいい?」

「うん。私も暇してたから」

「じゃあ行くね」

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