小さな恋のメロディ
ー30分後
チャイムが鳴る。


「はい」


ドアを開けると、嬉しそうな顔をした里沙が立っていた。


「上がって!」

「お邪魔しま~す。哲平は?」

「今、面接行ってる」

「そっか。哲平凄いよね。哲平が全部お金出してるんでしょ?」

「うん…」

「哲平の家も大変な時なのに、愛だね~」


えっ?
哲平の家が大変?
聞いてないよ…。

私は苦笑いしか出来ない…。

その時玄関が開く音がした。


「ただいま~。…あれ?里沙、来てたんだ?早いな」

「うん、綾香に電話してね。面接行って来たんだって?どうだった?」

「ダメ。夜勤出るの、条件に出されてさ。こいつ、夜一人じゃ危ないじゃん?」

「私も夜一人なんですけど」


二人の楽しそうな会話を、私はただ聞いていた。


「何か、綾香と哲平の顔を見たら安心しちゃった。又、遊びに来てもいい?」

「当たり前だろ」

「私もまだ引っ越しの片づけがあるから、今日は帰るね!」

「あぁ、又な!」


里沙は嵐のように帰って行った。


「どうした?」

「…ん?」

「元気ないから」

「そんな事ないよ」


哲平が自分から家の事を話してくれるまで、待とうと思った。

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