小さな恋のメロディ
哲平がバイトを探し始めて1週間。
時給が良く、好きな時間帯だけ働けるバイトなんて見付からない。

二人無職の上、出費だけが嵩んでいく…。


「俺、夜勤やってもいい?」

「いいよ」


翌日哲平は、夜勤だけのバイトを決めて来た。


「今日はご馳走にしよっ」

「哲平の就職祝いだね!里沙も呼ぼうよ」

「そうだな」


二人で近所に出掛けると、食べきれない程の総菜や、お菓子屋ジュースを買ってアパートに戻ると、退屈そうな顔をした里沙が、部屋の前で待っていた。


「おっそ~い!」


ふくれっ面で里沙が言う。


「ごめん、ごめん」


部屋に入ると、三人のささやかなパーティーが始まる。


「あっ、ケーキ持って来たんだ。後で食べよ?」

「何?手作り?」


箱を開けてみると、可愛いデコレーションケーキが入っていた。


「すっげ~」

「お菓子作るの好きだから」

「いい嫁さんになれるよ。なっ?」

「…そうだね!」



はしゃいでいる哲平を見ると、なぜか胸が痛んだ。

私は一般的な料理さえ出来ない…。


「綾香は?」

「えっ?」


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