小さな恋のメロディ
「綾香の得意料理は何?」

「……」


悪気のない里沙の笑顔が、私の胸を突き刺す。


「こいつは今、勉強中。なっ?」

「…うん」

「それよりさぁ、紺野は何やってんの?」

「まだ仕事決まってないみたいで、来週遊びに来るんだ!」

「マジ?じゃあ、四人で遊ぼうぜ」


夜10時を回ると里沙は帰って行った。


「どうした?今日元気無かったじゃん」


ちょっとした私の変化も、哲平は気付いてくれる…。


「私、美味しい料理作れるように頑張るから…」

「何だ、そんな事気にしてたのか!ゆっくり覚えればいいよ」




翌日から哲平はバイトに行くようになり、私は少しずつ家事を頑張った。

洗濯や掃除は慣れて来たけど、料理が上手く出来ない……。

哲平は夜8時に出掛けて、朝8時に帰って来る。

すれ違いの生活が、寂しい…。


私が働けば、哲平は夜に働かなくてもいいの?

何も出来ない私が出来る事…。
哲平はどうすれば喜んでくれる?


テレビ…。


思い立った私は、ここに来た時に哲平と行った、生活用品が売っているお店へと走った。


「一括でよろしいですか?」

「はい、一括で」

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