小さな恋のメロディ
一人になった私は、洗濯物を畳む。

このまま哲平が居なくなったら、どうすればいい?

その時里沙の着信で、携帯が鳴った。


「はい」

「綾香?今哲平、帰ったから」

「えっ?」

「大分落ち着いたけど、何か凹んでたよ。何があったの?」

「…うん」

「言いたくないならいいけど、ちゃんと支えてあげな!」


少しすると哲平が帰って来て言った。


「さっきはごめん…」

「私が悪いから…」

「俺はお互いの親の世話にはなりたくないんだ。二人で頑張ろ?」

「うん…。ごめんね」

”ねぇ哲平、里沙の家に行っていたの?”


出かかった言葉は、声にはならない…。

哲平から、言うまでは聞かないよ?

こうして又一つ、聞けないことが増えてしまった…。


どうすれば、哲平の喜ぶ顔が見れるの?


支えるってどうすればいい?


考えても、考えても、
見付からない答え…。

学校の勉強じゃ、こんな事習わなかった。

でも私は逃げない。
ここには、哲平が居るから……。

< 88 / 141 >

この作品をシェア

pagetop