小さな恋のメロディ
二十九番目の彼氏
朝から学校は騒がしい。
「ちょ、見て!進藤の鞄……」
「あれ、うちらがこの前欲しいって話してた鞄じゃん?」
「本当、嫌な女ね!」
欲しいなら買えばいいのに。
バカ女の反応は、予想通り過ぎてつまらない。
学校の先生も、うちのパパが国会議員だから、なにも言わない。
「じゃあ、この問題を……大野」
「分っかりませ~ん」
この問題のなにが分からないの?
バカじゃない?
冷たい目で大野哲平を見ると、大野哲平が私を見て笑った。
「先生~、進藤さんが分かるそうで~す」
「そうか……。じゃあ、進藤」
なんなの?この展開……。
ムカつく。
「分かりません」
「そうか……。ちょっとこの問題は難しいか。先生が説明するからちゃんと聞いとくんだぞ?」
クラスがざわつく。
そんな中大野哲平は私を見て又笑ってた。
そして、その日の昼休憩。
「綾香さん、付き合ってくれない?」
「いいよ」
登録No.二十八
里中という彼氏ができた。
相変わらず学校はうるさいけど、私は気にしない。
里中は隣のクラスの男で、下の名前なんて知らない。
そんな男と、私は今日一緒に帰る。