小さな恋のメロディ
花火が終わり、哲平の家に向かった。

哲平の家に着くと、哲平のお父さんとお母さん、耕平くんが暖かく迎えてくれた。


「哲平も綾香さんも、元気そうで良かったわ。私、アップルパイ焼いてみたの。食べましょう」


お母さんが焼いてくれたアップルパイは凄く美味しくて…。


「美味しいです」

「うちは男ばかりだから、綾香さんが来てくれると、華やかでいいわね」

「お姉ちゃん、ゲームしよう」

「綾香さん、少し瘦せたんじゃないか?」


答える間もなく飛び交う声に哲平はあきれ顔で…
でも私は嬉しかった。


楽しい時間はあっという間に終わり、私達は布団の中に入る。


「相変わらずだったな」

「羨ましいな」

「羨ましい?」

「うん。うちはいつも静かだから…。私も哲平の家みたいなのがいい…」

「じゃあ、一緒に作る?」

「?」

「俺達の楽しい家!」

「うん!」


私は生まれて1番の幸せを感じていた。
一年前、絶望した未来…。
一年経った今、予想もしなかった幸せが、ここにある。


「明日早いから、ちゃんと寝ろよ?」

「うん」

< 92 / 141 >

この作品をシェア

pagetop