小さな恋のメロディ

歯車

「哲平と上手くいってるみたいね」

「うん」


哲平が仕事に行った後、久し振りに里沙が来た。


「里沙も上手くいってるんでしょ?」

「…まぁね!」


里沙の一瞬の曇り顔に、私は何も感じないでいた。


「何、これ。哲平が畳んだの?」

「えっ?うん…」


さっき私が畳んだばかりの洗濯物を、里沙は畳みなおしながら言った。


「綾香はバイトしないの?」

「哲平がいいって言うから…」

「…哲平は凄いね。テレビ代も返して、哲平んちの家に仕送りまでして、こうやってちゃんと生活してんだもん」



テレビ代…?


仕送り?



私は何も知らない…。
何で私が知らない事を里沙が知っているの?


「哲平んちの工場の融資、綾香のお父さんが止めたんでしょ?何とか出来ないの?」

「……」

「…本当大変だね。私も出来る限りの事はするからね」



里沙は二時間くらい話して帰った行った。


パパが哲平の家の融資を止めてたの?



あの花火の日、哲平の家族はそれを知っていて、私に優しくしてくれてたの…?


私はどうすればいい?




哲平の為に何が出来る?

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