小さな恋のメロディ
「やっぱり貴女奇麗ね。元がいいから」


佐藤さんは満足そうに私を見る。


「名前の希望は?」

「…アヤ」

「アヤは…丁度誰も使ってないから、大丈夫よ」


佐藤さんに連れられて田中さんの所に行くと、履歴書を書き、テーブルでの作業を教わると、待機している女の子達に紹介された。

そして私は一人でポツンと待機席に座る。


お店は少し混んでて、私は女の子とお客さんのやり取りを見ていた。


「じゃあ」、アヤちゃん行こうか?」


ボーイが言う。


「今日は初めてだから、一人のお客さんには付けないよ。少しずつ慣れたらいいから」


私はあちこちのテーブルを回され、戸惑いながらも閉店時間を迎えた。


「アヤちゃんお疲れ様。続けられそう?」

「…はい」

「じゃあ、次の出勤もヨロシクね」


田中さんは忙しそうで、色んな女の子と話している。

送迎車でアパートに帰ると、すぐお風呂に入った。


哲平にバレないように…。

お風呂から上がると、慣れないバイトで疲れた私は、布団に入って眠った。


「ただいま~」

「……」


哲平が帰って来た声で、目が覚める。


「珍しいな。寝てるの…。体調悪いの?」

「…ううん、昨日の夜眠れなくて」

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