小さな恋のメロディ
「もしもし、綾香?」

「うん」

「聞いて欲しい事があるんだけど…。今…大丈夫?紺野がね」

「ごめん、里沙。私ちょっと時間がないから、明日でもいいかな?」

「…」

「里沙?」

「ううん、いいよ。ごめんね、又連絡するね」

「うん、ごめんね」


携帯を切るとバイトに行く準備をする。

牧野さんから指名を貰えるようになり、他のお客さんからの指名も少しずつ増え、お店に出勤を増やすように頼まれていた。


初めて働いた、このバイトに私は夢中で、この時、里沙の異変に気付かなかった……。



「今日入店した、マリナちゃんね」


田中さんに紹介された新しい女の子は、少し見覚えのある女の子だった。
どこで会ったんだろう?

店が閉店時間を迎え、着替えるとマリナが来て小声で言った。


「進藤綾香さんでしょ?」

「?!」

「綾香さん、送迎なんでしょ?送迎断って少し話しません?」

「いいけど…」

「じゃあ私送迎断ってきます」


マリナが断りに行き、私は着替えを終わらせて店の外に出ると、マリナを待った。


「お待たせしました!」


満面の笑みを見せるマリナ。




貴女は誰……?


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