ハーフ・ヴァンパイア〜始まりの薔薇〜
佳那汰&ルイ編
私が、クリスと『運命の出逢い』を果たした、数日後。
今度は、私の幼なじみである『霧島佳那汰【きりしまかなた】』が、『ある者』と『出逢う』ことになる。
「陽菜〜、ボクのダンクシュート見た!?」
そう言って、腰まである長い黒髪の美少女に、ボクは駆け寄った。
ボクが、陽菜と呼んだ美少女のフルネームは、『柘植陽菜【つげひな】』。
「佳奈汰。お前、相変わらず、陽菜にべったりだな。いい加減にしろよ!」
そう言って、ボクの頭を軽く叩く。
「いいじゃん。ボクと陽菜は、『堅い友情の絆』で結ばれてるんだから!大和に、とやかく言われる筋合いはないよ!」
プイッ!と、ボクが大和と呼んだ、精悍な青年から、そっぽを向いた。
大和は、やれやれといった様子で、肩をすくめる。
『鷹栖大和【たかすやまと】』。
ボクと陽菜の幼なじみである。
そして、ボクは知っている。
大和が、陽菜を密かに想っていることを‥‥‥。
だけど、陽菜のほうは、そんな大和の『想い』に気づいていない。
まったくだ。
陽菜は、わりと『恋愛』に対しては、『鈍感』なほうだと、ボクはそう思っている。
大和、可哀想に‥‥‥。
そうは思うが、もう一つ、大和の『恋』を妨げるものがあった。
それは‥‥‥‥。
「大和!!」
嬉しそうな声で、大和に駆け寄って行く、超美少女。
「春日!?そんな風に走ったら、発作がおきるぞ!」
大和の前に立った、その超美少女・『櫻井春日【さくらいはるひ】』。
春日も、ボクの幼なじみだった。
見て分かるように、春日は、大和が『好き』だ。
小さい頃から、一途に『大和』だけを想っている。
大和が、心配そうに叱ったのは、春日が、『生まれつき身体が弱い』のと、少し『心臓が悪い』からだった。
だが、大和が春日を心配するのは、たぶん、幼なじみとして、『危なかっしくて、ほっとけない』からだ。
大和は、春日に対して『恋愛感情』は、一切ない。
三角関係に、不毛な片想い。
ボクは、ずっと近くで、『それ』を見てきた。
だから、ボク自身、『恋愛』に関しては、結構、ドライなほうだ。
ボクは、男にしては結構、小柄なほうで、可愛らしい顔立ちをしている。
なので、よく『女の子』に間違われることが多い。
陽菜と、街を歩いていたら、男たちによくナンパされる。
だが、ボクは、『ひ弱な男』じゃない。
負けず嫌いで、気も人一倍強く、力もその辺の男よりあるつもりだ。
そして、ボクは、強情だった。
「もう試合、終わっちゃったの?残念。」
女の子の声が聞こえたほうを向くと、そこには、超美人な背の高い女の子と、それよりも少し背の高い、銀縁メガネをかけた美青年が、こちらにゆっくりと歩いて来るのが見えた。
「遅いよ!ひよりに冬夜。何してたのさ?」
ボクは、歩いて来る二人に、駆け寄って行きながら、そう言う。
そして、二人の目の前に立つと、冬夜がため息をつきながら、口を開いた。
「ひよりがテストで赤点を取ったんだ。それで、先生に言われて、仕方なく、勉強を見てやっていた。そしたら、こんな時間になった。」
「いいでしょう?赤点ぐらい。」
ひよりは開き直って、そう言う。
「ふうん。そうなんだ。」
ボクは頷くと、そう言った。
『神野冬夜【じんのとうや】』と『香坂ひより【こうさかひより】』。
ちまたの噂では、二人は『付き合っている』と、生徒たちから、囁かれていた。
『お似合いのカップル』。
そう言われ、冬夜とひよりを、密かに想っている生徒たちは、すでに諦めていた。
でも、実際は違うのだ。
ひよりは、陽菜と春日と『親友』だが、陽菜のほうを密かに『好き』なのだ。
そして、ひよりは、陽菜をとても大切に想っていて、誰よりも『幸せ』になってほしいと思っている。
ただ、そんな純粋な『想い』を持っているだけだ。
冬夜は、冷静沈着で、真面目なところがあるが、イマイチ何を考えているのかが分からない。
でも、冬夜もひよりも、お互いに気は合ってはいる。
そして、お互いに面倒だからと、噂をあえて『否定』したりしなかった。
こんな感じで、ボクたちは、『平和な日常』を送ってきていた。
だけど、その時、ボクはまだ知らなかった。
陽菜が、すでに『運命』と出逢っていること。
そして、ボクがこれから、『ある男』と出逢う『運命』にあること。
それが、ボクと陽菜、そして、大切な幼なじみたちの『運命』を大きく変化させ、『平和な日常』を奪っていくことになるのだった。
今度は、私の幼なじみである『霧島佳那汰【きりしまかなた】』が、『ある者』と『出逢う』ことになる。
「陽菜〜、ボクのダンクシュート見た!?」
そう言って、腰まである長い黒髪の美少女に、ボクは駆け寄った。
ボクが、陽菜と呼んだ美少女のフルネームは、『柘植陽菜【つげひな】』。
「佳奈汰。お前、相変わらず、陽菜にべったりだな。いい加減にしろよ!」
そう言って、ボクの頭を軽く叩く。
「いいじゃん。ボクと陽菜は、『堅い友情の絆』で結ばれてるんだから!大和に、とやかく言われる筋合いはないよ!」
プイッ!と、ボクが大和と呼んだ、精悍な青年から、そっぽを向いた。
大和は、やれやれといった様子で、肩をすくめる。
『鷹栖大和【たかすやまと】』。
ボクと陽菜の幼なじみである。
そして、ボクは知っている。
大和が、陽菜を密かに想っていることを‥‥‥。
だけど、陽菜のほうは、そんな大和の『想い』に気づいていない。
まったくだ。
陽菜は、わりと『恋愛』に対しては、『鈍感』なほうだと、ボクはそう思っている。
大和、可哀想に‥‥‥。
そうは思うが、もう一つ、大和の『恋』を妨げるものがあった。
それは‥‥‥‥。
「大和!!」
嬉しそうな声で、大和に駆け寄って行く、超美少女。
「春日!?そんな風に走ったら、発作がおきるぞ!」
大和の前に立った、その超美少女・『櫻井春日【さくらいはるひ】』。
春日も、ボクの幼なじみだった。
見て分かるように、春日は、大和が『好き』だ。
小さい頃から、一途に『大和』だけを想っている。
大和が、心配そうに叱ったのは、春日が、『生まれつき身体が弱い』のと、少し『心臓が悪い』からだった。
だが、大和が春日を心配するのは、たぶん、幼なじみとして、『危なかっしくて、ほっとけない』からだ。
大和は、春日に対して『恋愛感情』は、一切ない。
三角関係に、不毛な片想い。
ボクは、ずっと近くで、『それ』を見てきた。
だから、ボク自身、『恋愛』に関しては、結構、ドライなほうだ。
ボクは、男にしては結構、小柄なほうで、可愛らしい顔立ちをしている。
なので、よく『女の子』に間違われることが多い。
陽菜と、街を歩いていたら、男たちによくナンパされる。
だが、ボクは、『ひ弱な男』じゃない。
負けず嫌いで、気も人一倍強く、力もその辺の男よりあるつもりだ。
そして、ボクは、強情だった。
「もう試合、終わっちゃったの?残念。」
女の子の声が聞こえたほうを向くと、そこには、超美人な背の高い女の子と、それよりも少し背の高い、銀縁メガネをかけた美青年が、こちらにゆっくりと歩いて来るのが見えた。
「遅いよ!ひよりに冬夜。何してたのさ?」
ボクは、歩いて来る二人に、駆け寄って行きながら、そう言う。
そして、二人の目の前に立つと、冬夜がため息をつきながら、口を開いた。
「ひよりがテストで赤点を取ったんだ。それで、先生に言われて、仕方なく、勉強を見てやっていた。そしたら、こんな時間になった。」
「いいでしょう?赤点ぐらい。」
ひよりは開き直って、そう言う。
「ふうん。そうなんだ。」
ボクは頷くと、そう言った。
『神野冬夜【じんのとうや】』と『香坂ひより【こうさかひより】』。
ちまたの噂では、二人は『付き合っている』と、生徒たちから、囁かれていた。
『お似合いのカップル』。
そう言われ、冬夜とひよりを、密かに想っている生徒たちは、すでに諦めていた。
でも、実際は違うのだ。
ひよりは、陽菜と春日と『親友』だが、陽菜のほうを密かに『好き』なのだ。
そして、ひよりは、陽菜をとても大切に想っていて、誰よりも『幸せ』になってほしいと思っている。
ただ、そんな純粋な『想い』を持っているだけだ。
冬夜は、冷静沈着で、真面目なところがあるが、イマイチ何を考えているのかが分からない。
でも、冬夜もひよりも、お互いに気は合ってはいる。
そして、お互いに面倒だからと、噂をあえて『否定』したりしなかった。
こんな感じで、ボクたちは、『平和な日常』を送ってきていた。
だけど、その時、ボクはまだ知らなかった。
陽菜が、すでに『運命』と出逢っていること。
そして、ボクがこれから、『ある男』と出逢う『運命』にあること。
それが、ボクと陽菜、そして、大切な幼なじみたちの『運命』を大きく変化させ、『平和な日常』を奪っていくことになるのだった。