言えない恋心
「知っているもなにも、昨日私がパーティーに連れて行ってさしあげた方ですよ? この方の部屋には私が差し上げたドレスがあるはず――」
ああ、わたしはヒースの傍にいることさえも許されないの?
わたしはもう何も言えなくて、強く唇を噛みしめた。
だけど二人の傍にいられる筈もなく、すぐに背を向け、その場を逃げるようにして走った。
「ロズ!?」
だけれどヒースは二度目の逃亡を許さなかった。
彼はわたしに追いつき、腕を掴んだ。
おかげでわたしは止まってしまう。
「いやっ、はなしてっ!!」
「ロズ!! 昨日、ぼくと踊ったのは君だろう?」
なんですって?
ヒースの言葉に、わたしの体が硬直してしまった。
思ってもみないヒースからの言葉で呼吸がうまくできず、息が詰まる。
「知って……いたの?」
ああ、胸が痛い。