言えない恋心

 ヒースは昨夜の女性がわたしだと知っていて、それでも知っていることを隠したの?



 わたしの気持ちを彼は知っていたのね。

 彼は身分が違うわたしの恋を嘲っていたというの?

 酷いわ。わたしは必死に隠していたのに!!



「おっ、面白がっていたの? 身分不相応の恋を召使いがしていることが愚かだと思った? 嘲笑っていたのね!! 酷いわ! わたしは必死だったのに!!」




 ああ、この恋はこれで終わり。

 もう、このお屋敷には住めない。

 追い出されるのね。


 とても惨めだ。

 こんな結末なんて予想さえもしていなかった。

 今すぐ消えてしまいたい。

 目から涙が込み上げ、頬を伝う。


「ロズ……?」

 手を差し伸べられたけれど、すぐに振り払った。これ以上、惨めになるのはたくさんだ。

 わたしは彼を睨(にら)む。


 だけど、彼はわたしが想像していないことを告げた。


< 25 / 28 >

この作品をシェア

pagetop