言えない恋心

「ああ、やはりそうだったんだね……。夢のようだ」


 涙を流しながら、睨んでいるわたしの傍らで、ヒースは嬉しそうにそっとつぶやいた。


「もう、貴方たち速いわねぇ」

 わたしたちの少し後ろから、お祖母様の声が聞こえた。

 だけど、わたしは今、悲しみに打ちひしがれている。

 この場からなんとか逃げたいと思っているわたしには、不利になるばかりだ。


 だけど、ヒースは違ったみたい。


「お祖母様、この女性だ。この女性こそがぼくの最愛の人です」

 背後からゆっくり歩いてくるお祖母様に向かって、ヒースは大声でそう言った。




「――えっ?」

 ヒース?

 いま、何と言ったの?

 わたしの聞き間違い?


 びっくりして涙が引っ込んだわたしはヒースを見上げた。


 わたしのつま先が地面から離れる。

 気がつけば、わたしは彼によって横抱きにされていた。


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