君に熱視線゚
1*きっかけ
「 えぇ――っ…が、……合併っ!?」
二ノ宮高校1年B組
田中 苗
(たなか なえ)
彼女の青春はそんな一言から始まった。
(…危ないとは聞いてたけどまさか在学中にそんな事になるなんてっ…)
苗は青ざめてブツブツ呟く。
そう、彼女の通う二ノ宮高校は以前から財政危機に陥っていると噂されていた。
「 ちょっ、とじゃあ何!?制服も鞄も全部っ買い直し!?ぐぉ…っ…こっちが財政危機じゃっ破綻してまうぅ!」
「な、なえちん……ちょっと、落ち着いて…」
頭を抱え込み卒倒する親友の田中に遠藤 由美は言う。
「うぇぇっ…だって由美ぃ、やっと今月で滞納してた家賃払い終わったのにぃ!!
あんな金持ち学校と合併したら絶対っ学費も何もかも今より上がっちゃうよぅぅっ」
そう言って泣き出す苗を由美はよしよしと慰めた。
そう。彼女達が今通っている二ノ宮高校は、隣接する金持ちだらけのお坊っちゃんお嬢ちゃんが通う名門校。
この、結城学園に吸収合併されることになったのだ。
制服はもちろんのこと、校舎の内部から至るところまでどこぞの有名デザイナーが手がけたブランドの集まり…
正しくそんな学園だったのだ――