君に熱視線゚

「ところで、中ちゃんは何が聞きたかったの?」

苗はやっと話題を中島に振った。

「えっ、あ…あたしは苗と同じことだったからもういいよっ…」

中島は急に返されて焦った。

さっきから苗にいいとこ取りされまくっているばかりでいざとなったら何も口にできない。

見た目からははっきりと物を言いそうなイメージだが中島は案外、奥手だった。

苗はそんな中島に身を寄せた。

「ねえ…ところで、どう?ルパンなみの人居そう?」
下心を含んだ笑みを向け、こっそりと中島に聞いてみる。

「ここでは無理だと思う‥」


「……っ…そっか…やっぱ、そうだよね…ルパンくらいの野生身溢れる人がこんなお坊っちゃん学校に居るわけないもんね‥ちぇ‥」

苗はガッカリも露に、諦めながら手前の料理を口に詰め込む。そして中身を飲み込むと中島にこっそり聞いた。

「中ちゃんは好みの人居た?なんなら協力しようか?」


「えっマジ?実はあたし、結…」

「あーーっ!?…もう、こんな時間だ!!」

中島は立ち上がった苗を呆気に取られて見上げた。

「ごめんっ、中ちゃんあたし先に帰る!弟達が帰って来てるからさっ」

「はっ!?」
(……っ…こ、コイツはっ…)

目を見開く中島の怒りをよそに、苗は慌てて玉子の箱と持ち帰りで増えた食材の袋を抱え騒々しく席を立つ。

そして、晴樹の肩を叩いた。

「兄さん!今日はありがとう!!」



その一言を残して苗は去って行った…

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