君に熱視線゚

「な、なえちんっ…それはやめて」

苗の行動に引きながらも由美は廊下を歩き、新しい学園生活に胸をときめかせる。

「でもさ!ここの理事長もすごいよね。昔の恩返しか何か知らないけど…借金背負った学校一つ買い取っちゃうんだから!!」

「うん、ほんとだよ!
ついでにウチの借金も肩代わりしてくれたらあたしはこの身を捧げてもいいね」

「なえちん、それはいくらなんでも……でもさ、その理事長の孫って人にあたし早く会ってみたい!優しい人なんでしょ?」

借金の話から話題を逸らして聞いた由美に、苗はうーん。と唸る。

「優しいっちゃ優しいかな…だってさ…“今日は君らはゲストで俺達はホストなんだから”とか、言ってさぁこう‥目をキラーン、なんてさせちゃってパスタ取り分けてくれたよ。
背中に薔薇の花、背負ってたような感じ?」


「そうなの?やっぱりお金持ちって気取った人ばっかりなのかな…」

世話になったわりに苗は酷い言いようだ。

「あっ。でも、世話好きそうだったよ!持ち帰り詰めるのも手伝ってくれたし!!」

苗は自分が無理矢理、手伝わせたとは微塵にも思っちゃいなかった……。

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