君に熱視線゚


──全校生徒のみなさん
おはようございます。
8時から校庭で全校朝礼を行います──

校内放送のアナウンスが流れ、生徒達は移動を開始する。

「じゃあ、なえちん。あたし達も行こっか」

そして、苗達も移動を始めた。

校庭には続々と生徒が集まり黒い塊ができ始める。
さすがに二つの学校を合併した今、生徒数の多さは都内一、二を誇るものになっていた。

「ねぇ、やっぱこのお洒落な校舎にウチらの制服ってめちゃめちゃ浮いてるよね」

「うん、あたし夏服は結城の制服にする‥」

「苗はどうする?」

校庭で整列をしながら元、二ノ宮の生徒は口々に言葉を交した。そして、近くに並んでいた中島が苗に声を掛ける。

「あたし……夏も中間も冬も貰い物で二ノ宮の制服、手に入れちゃってるから…」

「そっか…」


[ 皆さん静かに!――]

ざわつく校庭が静かになると教壇に白髪の渋い老紳士が上がりマイクを取った。

「あの人が理事長かな?なかなかのダンディさんだね」

苗は中島にコソッと話す。

「うん……さすが晴樹さんのお祖父さんて感じ…晴樹さんも年を取ったら絶対あんな風になるはず!」

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