君に熱視線゚

「キャーっ…ちょっと何っ!? あの人誰っ!?」

「ねぇっあの人今朝の──」

女子の嬌声が鳴り響く。突然沸いた、廊下の騒雜しさに苗達も何事かと箸を止めた。

教室のドアがガラリと開き、中島の従兄が顔を出す。その後から騒動の原因が顔を覗かせた。


(晴樹さんだっ!…)

中島は笑みを浮かべてドアまで走り寄った。
「お兄ぃどうしたの!?なにか用!?」

「ああ、友理。悪いんだけど田中さんて子、呼んでくれる?」

「え、田中?……」

お兄ぃの言葉に中島が唖然としていると、教室を覗いていた晴樹が苗を見つけた。

「いた!あそこで弁当食べてる」

晴樹は手を振りながら教室の中に入ってくる。
それと同時に再び教室の中がざわついていた。
廊下の窓にはびっしりと飢えた女豹どもが張り付き、教室の中を食い入るように覗いている。


(なんで苗っ…!?)

中島の頭の中を“なんで!?”という文字が回転しはじめた。

晴樹は苗の側に来ると近くの椅子を引き寄せ、背もたれに手をかけて座る。そしてにっこり微笑みかけた。

「兄さんどったのさ?」

苗は驚き、由美は真っ赤になって晴樹に釘付けになっている。

「ああ……持ち帰りはちゃんと食べたか聞きにきただけ」

晴樹は楽しそうに話かけていた。

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