君に熱視線゚
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「いつも、弁当食べてるの?」

苗達の弁当を見て聞いてくる晴樹に苗はうん、と答える。

「あ、そうだっ!兄さん、この子由美って言うの。合コンは用があって行けなかったんだけど」

苗の紹介で晴樹は由美に向けて微笑む‥

「そうか、じゃあこれからよろしく。俺は結…」

「この人が噂のパスタの兄さんだよ!」

「……は?…」
(パスタの兄さん?)

真っ赤に硬直している由美に、晴樹が自己紹介をしようとしたら苗に先を超されてしまった。

晴樹は苗を見つめる。

(…俺はどう足掻いても“兄さん”から離脱できないのか?)

そんな疑問が何故か頭の隅を離れない。
晴樹はゆっくりと腰を上げた。

「……じゃあ…あんまりランチタイムを邪魔しちゃ悪いからこの辺でパスタ兄さんは退散するよ……」

背を向けた晴樹はドアの前に来ると振り返る。そして再び周りがざわつき出すような事を口にした。


「明日は、二人ともここの学食ご馳走するから弁当は持ってこなくていいよ!」

その言葉に周りの女子が静かに興奮しながら苗達を羨望の眼差しで見つめていた。

そして、ドア付近で固まっている中島に晴樹は気付いた。

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