君に熱視線゚
·
「中ちゃん?だったよね。君もこのクラスだったんだ?」

晴樹はそれだけ声を掛け、群がる女豹を掻き分けて立ち去っていった……。

苗は呟く。

「ご馳走‥‥由美っ
聞いた!?お昼ご馳走してくれるってっ…て、あれ?由美だいじょび?」

苗は放心状態の由美の赤ら顔の前をひらひらと手で扇ぐ。

由美はうっとりした声で言った。

「ねえ、なえ……ちん…王子様って……ホントに居たんだね…」

「んあ? なにが?」

「ねぇ!あの人でしょ!?
結城先輩って!…あたし…絶対頑張るっ」

由美は瞳をキラキラさせて夢追い人のように遠くを見つめ続けた…

そして、ここにも一人‥


(晴樹さんからわざわざ会いに来るなんて…っ…)

疑問が尽きず、そんな中島の頭の中でそろばんの結果がパチパチッと弾き出された。

「……!っ…」
(…苗に取り入った方が
絶対に近道だわ!!)

策が決まると中島は苗の元まで来て言った。

「あのさ……苗、お兄ぃも居ることだし‥あたしも明日お昼一緒にイイ?」

「いいんじゃない?別に」
苗は勝手に許可を出す。
そして、そんな中島の企みに気づいた由美はキッと中島に視線を向けた。

バチバチと二人の間で高熱線が激しくぶつかり合う。さっそく戦いの火花が派手に散っていた……。

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