君に熱視線゚
晴樹はしきりに由美に感想を語りながらパスタを頬張る苗を眺めた。
(相変わらず旨そうに食べるな……)
晴樹は苗のこの食べっぷりを結構気に入っていた。
今まで周りにいた女達は姿形だけを気にして、チビチビと食べるばかりで一緒に食事に行っても旨そうに思えた試しがない。
「晴樹さん、なんか楽しそうですね」
「え、そう?」
「さっきから顔が笑ってますよ…」
苗を眺め密かに微笑む晴樹を中島はずっと観察していた。
「俺、笑ってた!?」
晴樹自身も中島に指摘されて戸惑う。
「ところで兄さん!この余った料理を…」
「わかってるからそれ以上いうな…」
テーブルの上にある料理を眺めて何かを言いかける苗を晴樹は咄嗟に止めた。
「さすが兄さん!」
「ただし、周りの客の目があるからこの料理は持って帰れないよ」
「──…はっ…なんてことを!?」
苗は余りのショックに青ざめて椅子から立ち上がる。
晴樹が断ったのも仕方がない。前回は貸し切りだったため苗のご乱行を黙認したが、今回は普通の営業日ということもあって周りは一般客で埋め尽されている…