君に熱視線゚

食事も終わり、帰り際に晴樹はみんなに紙袋を手渡していた。


「え!?あたし達も頂いていいんですか!?」

晴樹が苗に約束した持ち帰りの代わりの品だ。
それを遠慮がちに受け取る由美に晴樹は頷いた。

「ああ、構わないよ。
冷凍保存して食べる時に温めてくれたらいいから…」

「これは何でござんしょ?」

紙袋の中を目を細めて覗きながら苗が聞く。

「パニーニってやつだよ。この店の販売商品だから食べたら感想でも聞かせて!
ホットサンドだから温めて食べてくれたらいいから」

晴樹は苗に家族分の持ち帰りを渡すと、皆をビルの外までわざわざ見送りに出る。

苗達はご機嫌に手を振り替えして店を後にした。


「はぁ~……やっぱり晴樹サン洗練されてる……だってさ、今時の高2って結構子供っぽいのに、な~んか大人な感じするんだよねぇ」

由美はほうっと溜め息を吐きながら、ほんのり頬を染めて晴樹のことを語り始めた。

中島はそんな由美に小さく相槌を打って返す。

「……うん」


「…あれ中ちゃん?
何だかトークに乗り気じゃないね?あんたも晴樹さん狙ってると思ってたけど……」


「えぇっ!?
中ちゃんも兄さん狙いなの!?かぁっ!!由美と二人で取り合っちゃうのかぁ!?

恋愛バトルだね!
って、えぇ!?じゃあ、あたしは板挟み!?」


言葉少ない中島を由美が追及したが、それに答えたのは苗だった。

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