君に熱視線゚


「ふぃ~、涼しいぃ」


苗は中島のターンで送り込まれる涼風をしっかり堪能していた。

「ちょっと苗!?
いい加減疲れるけどっ!?」

「ごみん」


「でも、やっぱ結城の制服可愛いね!
あたしのも早く出来ないかなぁ…」


中島の制服姿を見て由美が呟いた。その言葉に苗は強いショックを受けた。


「えぇっ!?由美も制服作ったの!?」


「うん、だって二ノ宮の夏服はまだ作ってなかったから丁度よかったし…」


―ガタッ!

「なえちん?」
「苗?」


ふらりと椅子から立ち上がる苗に二人は呼びかける。
苗の唇は何かを呟くようにボソボソと動いていた…


「ど、どうしたの苗っ…」

「裏切ったわね‥」

「へっ?ちょっと、なえちんっ!?」


苗はぶるぶると震え、その一言だけ発して泣き叫びながら教室を飛び出して行った。


ダダダダ──!

「ぐぇぇっ‥ぇぐっうぅ
ぅわあぁぁーん!」



「なんだ!?あの声は‥」


晴樹達は獣の雄叫びのような声と地鳴りに驚き廊下に顔を出した。

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