君に熱視線゚

晴樹はそう言ってなだめると、苗の手を引き1年の教室へと連れて行った。

そして取り残されたお嬢達はその背中を見つめる。


「あの子‥憎めないんだけど、なんだか邪魔だわ」


「でも晴樹、本気で妹みたいに可愛がってるし…」


「手なずけてみる?」


話がつくと遠く離れた二人の背中をお嬢達は見つめる。
晴樹争奪戦に苗は知らずの内に巻き込まれるのだった……












「あれ!?うそ…っ…苗、晴樹さんと手つないでるっ」

突然、走り去った苗を心配していた中島達は戻って来たその姿を見て驚いた。


苗は腫れた目で晴樹と直哉とご機嫌な様子で語りながら教室に戻って来た。


「あっ!由美、中ちゃん聞いて!あたしも結城の制服着れるかもだよ!」


苗は中島達を見つけると晴樹達に手を振り中島の元に走り寄ってきた。

「なんで!?もしかして晴樹さんにあんた、おねだりしたんじゃっ…(苗ならヤリかねないっ…)」


「違うよ。まさか、あたしもそこまではしないって!!」


苗は弁解しながら事の経緯を話した。


「へぇ…でも、結局は晴樹さんが面倒見るんじゃない……苗ってちょっと、晴樹さんに迷惑かけすぎなんじゃない?」


「…中ちゃん?……」


中島の言い方に少し違和感を覚えた苗は何かを言いかけた。だが、ちょうど授業の一限目のチャイムが鳴り、中島はそのまま自分の席についてしまった。

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