君に熱視線゚

苗はほんの数秒のハグをすると晴樹を解放した。

「じゃあ、今日の放課後に待ち合わせね!‥‥‥て、あれ? 兄さん顔赤いよ? どったの??」


「…っ…あ…ああっ…いや何でもない…っ…屋上の照り返しがちょっとっ」


晴樹は真っ赤な顔を苗から背ける。そして火照った肌を手の平で扇ぐと

「……じゃ、後でな…」


去り際にそれだけ言い残し、ふらりと屋上を後にした。

「いや~、やっぱ人生って悪いことだけじゃないんだねぇ~…って、由美までどうしたの?やっぱり屋上の照り返し!?」

晴樹を見送りご機嫌に語り出した苗は、正面を見て目をパチクリさせる。

苗は自分は何ともないのに。そう思いながら周りを見渡すと‥


周りの女生徒も真っ赤に紅潮していた。


(やっぱりヒートアイランド現象だ…)

苗は確信しながら周りをぐるりと見渡していた。


そして、屋上につながる階段の踊り場でしゃがみ込む男が一人居る。


(…あいつっ…いきなりなんてことするんだ!?…っ…)


学園一の色男は赤面男になっていた。

晴樹は気を取り直して立ち上がる。

だが階段を降りようとしたが晴樹は少し戸惑った。


(いや…まだ、やばいな…っ…これじゃ教室戻れねっー…)

顔の熱を手で確認すると晴樹は階段を降りることを少し躊躇した。

晴樹は暫し考え込む。

(……何しでかすか先が読めないから面白いんだけど……ほんとに突拍子もないことしてくれるヤツだな……)


落ち着きを取り戻した晴樹は教室で席に着いても苗の事が頭から離れない。
晴樹は話し掛けてくる直哉の声も上の空に突然、屋上での出来事を思い出し口元を緩ませた。

「……何だかすごく嬉しそうですね?顔まで赤くして……」

「…っ…別になんでもないっ…」

慌てて口元を隠したが間に合わず、晴樹は直哉にツッこまれてしまった…

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