君に熱視線゚
「じゃ、測るからまっすぐ立ってて!」
拓海はメジャーを手にとり採寸を始める。晴樹はその様子をソファに腰掛けて眺めた。
「脱がなくてもいいの?」
「──…!っ…ばかっ、脱がなくても測れる!!ドレス作る訳じゃないんだから!!」
晴樹は何故か真っ赤になって叫ぶ。
「大丈夫だよ、脱ぎたいなら脱いでもいいけど?」
苗の問いかけに拓海はにっこりと大人の笑みで答えた。
寸法を測る拓海を苗はじっと見つめながら思う‥
(この人…ルパンみたい…)
苗は拓海を高揚した瞳で見つめ、頬をほんのり染めている。
そう。短い頭髪に長めのモミアゲ。細面の顔立ちで、なんだかちょっと、サルっぽい……。
そして細身の体にフィットしたこれまた、細身のスーツ……。
素足なのか履いているのか分からない程の石〇純一 ばりの足元に、少し丈の短いズボンからは細~い足首が覗いている…
その容姿は完全にルパンだった。
(…なんだか、すごい見られている気がするな‥‥)
少し冷や汗をかきながら、拓海は胸囲を測る為に苗の背中に手をまわす。
「ばか!何、抱きついてんだよっ」
苗の動作に晴樹は怒った。
別に抱きついた訳ではない。苗は自分の後ろに手を回しやすいように拓海の肩に手を乗せていた。ただ、それだけだ。
「晴樹、落ち着け‥‥」
晴樹をなだめながら拓海は苗に言った。
「ヤキモチ妬きの旦那を持つと大変だね」
「……っ…別に旦那じゃない!!」
「はいはい、わかったから」
ムキになる晴樹を軽く流して拓海は採寸を終える。
「よし、一週間ぐらいで仕上げるから出来たらこっちから連絡入れるよ」
「はい。ありがとうございます!」
苗はお礼を言ってペコっと頭を下げる。そして拓海にからかわれ続けた晴樹と共に事務所を後にした。