君に熱視線゚

「あ、晴樹さんお帰りなさい」

「ああ、村井」


晴樹が家に帰り着くと晴樹の専属。執事兼秘書の村井が声をかけてきた。


「お食事は済まれましたか?」

「ああ、ちょっと食事に招待されてさ…色々驚くことばかりでちょっと疲れたよ」


「疲れた?」

村井は不思議そうに聞き返した。

「ああ」

リビングのソファに座り、そう返事する晴樹に村井は言った。


「……疲れたと言うより、楽しかった!ではないですか?晴樹さん、帰って来てからずっとにこにこされていますよ?」


「……そうか?」

言われて晴樹は自分の顔に手で触れる。


(‥そうか‥‥そういえば最近退屈だと感じることが無くなった気が…する……)


晴樹はソファに横になり目を閉じた…


(親父は遅くまで仕事…
家で食事なんてした試しがない。
お袋も親父の部下の奥様連中と食事会だなんだで家で料理なんて作ったこともない‥‥
家族揃って食事って…記憶にないな?

別に忙しいのはわかってるし、それが当たり前で一人での食事を不満に思った事もなかったけど‥‥

食事をしてるって実感したのは今日が初めてかもしれない‥‥)


「クスッ‥」

晴樹は田中家での出来事を振り返り、思わず小さな笑い声を漏らした。

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