好きも嫌いも冷静に
相変わらず可愛らしい事を言うな…。
何気に聞いてみるか。
「澪さん、この間、本屋でお巡りさんと話していたじゃないですか」
「あ、は、はい」
モグモグしていた。
お茶を飲んだ。…ゴクッ。何かしら…。
「あの事件以来、会ったのかな?」
「いいえ、あの本屋さんが初めてでした。
あの…」
「笑わないで聞いてくれる?」
「は、い?」
「俺ね、彼にヤキモチ妬いているんだ…」
「えーっ、伊織さんがですか?意外です」
「うん。…あんまり楽しそうに話してたから。
それを見てたら、ここら辺がモヤモヤしたんだ」
胸の辺りに手をやった。
「伊織さん…。伊織さん!」
いきなり澪さんが隣から抱き着いてきた。
「うわっ、どうしました?澪さん」
「ヤキモチ…、妬いてくれた事が嬉しくて…」
顔を押し付けた胸で声が聞こえた。
「嬉しいの?俺、ちっちゃい男だよ?…。話してるとこ見ただけで妬くなんて…」
「ううん。それが嬉しいんです。凄く嬉しい。
正直に気持ちを言ってくれるところが、嬉しいんです」
更にギューッと抱きしめられた。
「何だか…、参ったなぁ。了見がない男なんだけど…」
「いいんです!」
「そう?何だか…、有難う」
「はい。…私なんか、目茶苦茶妬いてますから…」
「え?」