好きも嫌いも冷静に

「結婚に興味は?」

「あります。したいと思っています」

「恋愛は?」

「正直、結婚を先に考えた恋愛というか、つき合いはしたいと思っていますが、普通の恋愛の末の結婚は考えていません。理屈っぽいですけど」

「…そうですか。恋愛はあまり希望されて無いのですね……。
釣書は?見て頂きましたか?」

「…すみません」

「いいんです。そうですよね。
興味が無いんですから、見なくて当たり前です」

「すみません」

「年上は?考えられませんか?」

「…即答はできません」

「正直ですね。でも、これもズルイわ。
ダメとはっきり言わないのは、可能性もあると思っていいのですよね?そう成りますよ?」

「…それは、何とも。
相手によると…言っておきます。…すみません」

「…解りました。…やっぱりズルイわ。
色々聞いてごめんなさい。
さあ、食べましょう?
ここは部長さんの奢りなんですから。食べないと勿体ないわ。
食べて帰りましょう?」

「あの…」

「美作さんは、当初の予定通り、断りを入れて頂いて構いませんから。何も気にせず。
こうして会えましたから。まだ手段はあります」

「え?…」

「気持ちまで打ち明けたのに、簡単になんて諦めませんよって事です。
まだ美作さんの心に入る、余地はあると思っていますから」

「……」

箸は持っても食はそれほどすすむものでもない。

「佐蔵さん帰りはどうされるのですか?
車で来てますから、差し支えが無ければ、送りますよ」

「いいんですか?」

「はい」

「嬉しい。助手席、乗ってもいいのかしら?」

「大丈夫です、問題ありません」



ん?
伊織?伊織だ。車に女性なんて…ドライブデートか?
……はあ?あの女性は…。
どういう事だ…、伊織。
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