好きも嫌いも冷静に
「……だって…、マスターったら朝からずっと大欠伸ばかりして、ニヤニヤしてるし…。伊織さんが来た途端、生き生きしだすし。
それに、この前だって…。
マスターがいきなり奥の部屋に伊織さんを引っ張って行ったでしょ?ずーっと二人っきりで篭ってたし。伊織さん…、帰り…マスターのお尻、…触ってたし。私、しっかり見ましたから」
ブーッ!
最後の方には堪えられなくなって、聞きながら飲んでいたコーヒー、噴いてしまった。
…まあ自業自得な部分だな。…はぁ。
「…ごめん」
俺はすみれちゃんからタオルを受け取り、拭いた。
「大丈夫です」
「すみれちゃん、いいかい?よく聞いて欲しいんだ。いい?俺も、英雄も、ノーマルだ。何の関係(関係?)も無い。本当に誤解しないで欲しいんだ。
俺は女性が好きだ。英雄だってそうだ。
すみれちゃんは聞いたことがあるかな。アイツの時々出るオネエ言葉には訳があるんだよ。それはアイツに確かめてもらえないかな?
それと…、お尻を触ったのはジョークだからね、ちょっとふざけ過ぎたけど、ジョークだから」
ジッと顔を見てみる。んー、疑ってるな、まだ…。でも…こればっかりは証明出来るモノも無いしな…。あ、…そうだ。証明は出来る、そうだ。
「解りました」
おい、おい、本当かな。表情と言葉が合致してないだろ?まあ、解ったと言うなら、解ってくれるか…。
こうなったら英雄に環さんの事、話してもらうか…。いや、まだ確実に聞いた訳じゃないから、どうなったのか、確定するのは危険か…。
その…、シちゃっただけかも知れないし…。それだって、立派な証明にはなるだろうが。それはちょっと、な。